オフィスのレイアウト変更やリニューアルを検討している事業者様の中には、次のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
- 自社オフィスの面積が限られていて、レイアウトを変更しにくい
- 大規模なオフィスのレイアウト例が多く、あまり参考にならない
この記事では、小規模オフィスならではのメリット・デメリットをはじめ、狭いオフィスを快適な空間にするためのアイデアを紹介しています。レイアウトに際して注意しておきたい点や、限られたスペースを効果的に生かしたレイアウト事例もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
目次 小規模オフィスならではのメリット・デメリット 狭いオフィスを快適な空間にするためのアイデア7選 小規模オフィスのレイアウト時の注意点 限られたスペースを効果的に生かしたレイアウト事例 小規模オフィスならではの強みを生かしたレイアウトを実現しよう |
小規模オフィスならではのメリット・デメリット
小規模オフィスには、大規模なオフィスとは異なる特有のメリット・デメリットがあります。まずは狭いオフィスならではの強みと、面積が限られているからこそ求められる工夫について整理しておきましょう。
狭いオフィスならではの強み
小規模オフィスの何よりの強みは、賃料を抑えられることです。オフィスの床面積が大きくなるほど賃料も上がる傾向があるため、可能であればオフィスの面積はコンパクトであるほうが望ましいといえます。
また、シンプルにレイアウトできることから、オフィス全体のデザインを統一しやすいというメリットもあります。床や什器の色・デザインに一貫性をもたせることで、整然としたまとまりのある空間を構築できるでしょう。
さらに、面積が限られているからこそ社員同士の距離が近く、コミュニケーションをとりやすい点も大きなメリットです。こうした小規模オフィスに特有の強みを生かせるレイアウトを目指すことをおすすめします。
狭いオフィスに求められる工夫
小規模オフィスには対策を講じておきたい課題もあります。面積が限られているため、圧迫感や閉塞感を覚えやすくなるからです。できるだけ「狭さ」を感じさせないレイアウトの工夫が求められるでしょう。
また、ゾーニングや動線の工夫も求められます。社員がオフィス内を移動する際、通路が十分に確保されていなかったり、人が通るたびに椅子を引かなくてはならなかったりするようではストレスの原因になりかねません。オフィスの使い勝手や機能性も考慮しつつ、レイアウトを検討する必要があります。
狭いオフィスを快適な空間にするためのアイデア7選
狭いオフィスを快適な空間にするための具体的なアイデアを紹介します。自社で活用できるアイデアは積極的に取り入れて、小規模オフィスならではの強みを引き出しましょう。
空間を広く見せるデザイン・装飾にする
できるだけ空間を広く見せるデザイン・装飾にすることは、狭さを感じさせない工夫の定番といえます。奥行きが感じられるデスク配置にしたり、鏡などを活用するなど、工夫しだいで空間を広く見せることは可能です。
開放感のある空間にするには、室内の明るさにも気を配る必要があります。窓の周辺にはできるだけオフィス家具などを設置するのを避け、光が入りやすいレイアウトにするのが得策です。
背の高いオフィス家具を配置しない
高さのあるオフィス家具は視線を遮り、圧迫感を生む原因になりやすい傾向があります。オフィスをできるだけ広く感じられる空間にするには、座った状態でフロア全体を見渡せる高さの什器を選ぶほうが良いでしょう。キャビネットなど背の高いオフィス家具を導入せざるを得ない場合は、壁際に寄せて配置することで圧迫感を和らげる効果が期待できます。
間仕切りには圧迫感の少ない什器を用いる
オフィス内をエリアごとに区切る場合、パーティションなどを間仕切りとして用いるケースが少なくありません。一方で、間仕切りの形状や材質、高さによっては圧迫感を生む原因になりがちです。木製など温かみの感じられる素材でつくられたパーティションを活用したり、間仕切り兼キャビネットを取り入れたりすると良いでしょう。観葉植物などを設置して、簡易的に空間を区切る方法もおすすめです。
ペーパーレス前提で運用する
オフィス内に保管すべきものが多くなるほど、執務スペースが圧迫されがちです。とくに書類関係は年月を経るごとに保管すべきものが増えやすく、収納スペースの確保が課題となる傾向があります。保管物を極力減らすには、ペーパーレスを前提としたオフィス運用を検討しておくのが望ましいでしょう。書類作成から保存までをデジタルデータで完結させたり、保管が必要な書類はスキャンしてデータ化したりすることで、収納スペースを削減できます。
多用途スペースを設ける
1つのエリアを特定の目的のみに利用するのではなく、多用途スペースにするのも有効な方法です。用途に応じてワークスペースや簡易ミーティングスペース、休憩スペースにもなるエリアを設けることで、オフィスの空間を効率良く活用できます。
気軽に打ち合わせができるスペースを設けることで、機動的にコミュニケーションが図れるようになる点も大きなメリットです。会議室を予約したり、メンバーを招集したりするプロセスを省略できるため、コミュニケーションの機会をより気軽に創出できるでしょう。
収納スペースを集約する
収納スペースを1カ所にまとめるのもおすすめのアイデアです。オフィス内に収納スペースが分散している場合と比べて、すっきりとしたレイアウトを実現しやすくなります。自社に必要な容量に合わせて自由に組み合わせられるタイプのキャビネットを導入するなど、収納スペースを集約する工夫をしてみてはいかがでしょうか。
フリーアドレスにする
オフィスの座席運用をフリーアドレスにするのも1つの方法です。固定席を設けないフリーアドレスのオフィスはテレワークとの相性が良く、座席数を必要最小限に抑える効果が期待できます。従業員一人ひとりが専用のデスクを使用する場合と比べて、必要なオフィス面積を削減できるでしょう。
フリーアドレスを導入するメリットや注意点については、次の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
小規模オフィスのレイアウト時の注意点
小規模オフィスのレイアウトを検討する際には、いくつか考慮しておきたい点もあります。次に挙げる3つの注意点を踏まえて、あらかじめ対策を講じておくことが大切です。
組織変更や増員の可能性を考慮する
オフィスのレイアウトは、将来的に変更する可能性があることも考慮して決定することをおすすめします。従業員の入退社や人事異動のたびに大がかりな配置の変更を伴うのは、オフィスの運用上あまり効率的とはいえません。手軽に移動できるタイプのデスクを選んだり、フリーアドレスを取り入れたりするなど、柔軟に変更しやすいレイアウトを意識すると良いでしょう。
従業員にとっての働きやすさに配慮する
「外観がすっきりしている」「デザインがおしゃれ」といった点もオフィスの空間づくりにおいて重要なポイントですが、同時に機能性にも十分考慮しなければなりません。圧迫感を軽減し、ストレスを感じにくい空間にすることや、業務内容に合わせたデスク運用が可能なレイアウトにすることが大切です。デザイン性を重視するあまり、従業員にとっての働きやすさ・使いやすさを度外視したレイアウトにならないよう配慮しましょう。
各種法令を遵守する
オフィスのレイアウトを検討するにあたって、関連する各種法令を遵守することも重要なポイントです。代表的な法令として、下表のものが挙げられます 。
法令 | オフィスレイアウトに関わる主な基準 |
建築基準法 | 廊下の通路幅は、両側に部屋がある場合は1600mm以上、片側に部屋がある場合は1200mm以上確保する。 |
消防法 | 天井まで届く高さのパーティションを設置する場合、煙感知器や熱感知器、スプリンクラー、非常灯などの設置が必要。 |
労働安全衛生法 | 従業員一人あたりのスペースを10平方メートル以上確保する。粗な(大まかな)作業には70ルクス以上、通常の作業であれば150ルクス以上、精密な作業の場合は300ルクス以上の照度が必要。 |
限られたスペースを効果的に生かしたレイアウト事例
スペースを有効に活用し、小規模オフィスのメリット面を引き出しているレイアウトの事例を紹介します。
事例1:リラックスできる雰囲気のオフィス
訪問型経理アウトソーシングサービスや、DX化支援サービスを展開する株式会社Innovation Treeの事例です。オフィス増設に伴い、お客様にご利用いただくスペースに無塗装の木の質感を生かした内装を採用。リラックスして話しやすい空間を実現しました。パーティションには植物を取り入れ、無機質になりがちなオフィス空間に彩りと安らぎを与えています。この事例のように、空間のテイストを手軽に統一できることは限られたスペースならではのメリットです。
事例2:リフレッシュエリアを兼ねた多用途スペース
エネルギー・環境事業を展開する富士電機株式会社の事例です。研修棟の休憩室をリノベーションし、リフレッシュエリアを兼ねた多用途スペースにしました。床やテーブル、椅子をはじめ、内装を木製でそろえることにより、統一感のあるデザインを実現しています。当初は昼食や休憩のためのスペースを想定していましたが、現在では打ち合わせや講習会、懇親会の場としても活用されるようになりました。多用途スペースを設けることで、空間を効率良く活用している事例といえるでしょう。
事例3:デッドスペースの有効活用
産業用機器の製造産業用制御機器の販売やサービスを手がける株式会社アンペールの事例です。従来は未使用の什器置き場となっていたスペースを、多目的スペースへとリノベーションしました。植栽パーティションで緩やかに空間が区切られており、社員が気軽に会話し合える場として活用されています。現在は主に社内会議のほか、オンライン会議やウェビナー受講などにもこのスペースが活用されるようになりました。デッドスペースを有効活用するアイデアとして、参考になる事例です。
事例4:間仕切りをやめてオープンスペースに
建築施工図の技術者派遣や建築施工管理などを手がける有限会社新興建築サービスの事例です。CADスクールを新規開設するにあたり、従来はパーティションで区切っていた空間をスクール兼打ち合わせスペースへとリノベーションしました。植栽テーブルや木製の個人ブースといった什器が設置され、機能性と安らぎを両立させる空間となっています。オープンスペースにすることで、限られた空間を最大限活用している事例といえるでしょう。
事例5:仕切りのないフリーアドレスオフィス
電子部品の専門商社である太平電機株式会社の事例です。オフィスをフリーアドレス化するにあたり、木製天板の大型テーブルを導入。隔たりのない空間にすることで、職場の一体感が強化されました。また、デスク下のキャビネットを廃止したため、椅子を移動させるだけで簡易的な打ち合わせが可能なレイアウトとなっています。仕切りのないオフィスは空間を効果的に生かせるだけでなく、コミュニケーションの活性化にもつながることを示す好例です。
小規模オフィスならではの強みを生かしたレイアウトを実現しよう
小規模オフィスはスペースが限られているといったデメリット面に目が向きがちですが、小規模だからこそ発揮できる強みも数多くあります。今回紹介したレイアウトのアイデアや各社の事例を参考に、コンパクトなオフィスならではの強みを生かした空間づくりを実現しましょう。
圧迫感が少なくリラックスできる空間を実現したい事業者様は、オフィスの木質化もあわせて検討してみてはいかがでしょうか。木質化とは、オフィスの内装に木材を使用し、木のぬくもりや自然な風合いを生かすことを指します。リラックス効果をもたらす木の内装・什器は、小規模オフィスにもおすすめです。キイノクスでは、木質化によるオフィスリノベーションをご提案しています。木の質感やぬくもりを生かした空間デザインにご興味のある事業者様は、是非お問合せください。