オフィスの移転やリニューアルを予定している事業者様にとって、新オフィスをどのようなレイアウトにするか悩みどころの1つではないでしょうか。オフィスのレイアウトは外観だけでなく、使い勝手や働き方にも影響を与える要素のため、慎重に検討を重ねる必要があります。
この記事では、基本となるオフィスレイアウトや検討する際に意識しておきたいポイントをわかりやすく解説しています。おしゃれなオフィスデザインのヒントも事例とともに紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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オフィスレイアウトを工夫するメリット
そもそもオフィスレイアウトを工夫することによって、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
オフィスレイアウトは働き方と密接に結び付いています。使い勝手がよく、機能的なオフィスにすることによって、業務効率や生産性の向上につながるでしょう。また、従業員同士が気軽に言葉を交わせる距離感や位置関係で仕事を進められれば、コミュニケーションの円滑化にもつながります。さらにスペースを有効活用することで、無駄なスペースをつくらずオフィスを最大限に有効活用できる点が大きなメリットです。このように、オフィスのレイアウトは従業員にとって働きやすく、機能的なオフィス環境を整備する上で非常に重要な要素といえます。
基本となるオフィスレイアウト6選
オフィスレイアウトには、基本となるパターンがあります。まずは基本的なデスク配置を確認しておきましょう。
1. 対面型

席を向かい合わせにして座るスタイルです。一般的に同じ集まりのデスクは「島」などの単位で呼ばれます。隣や向かいの従業員との距離が近く、島内でのコミュニケーションを図りやすい点が大きなメリットです。一方で、別の島の従業員や同じ島でも席が離れている従業員と会話を交わすには、席を立って移動しなくてはなりません。また、島と島の間は通路にもなり、オフィス内の重要な動線の1つとなることから、適度な通路幅を確保できるかどうかも重要なポイントといえます。
2. 背面型

通常は従業員同士が背中合わせで座り、振り向くと向かい合わせになるスタイルです。デスクの間にローパーテーションを設置することにより、対面する人の視線を遮り、基本的には業務に集中しやすい環境を作ります。 こうすることで集中して作業に取り組みたいシーンと、周囲の従業員と交流を図りたいシーンを使い分けられます。ただし、動線を確保するためにチェアの背後に適度なスペースを設ける必要があります。背面型レイアウトを採用する際には、このスペースを確保できるか慎重に判断することが大切です。
3. クロス型

デスクを縦横に交差して配置するスタイルです。幅・奥行きともに一定以上のスペースを確保できるオフィスに適しています。島と島の間が通路となりますが、デスクをすべて同じ方向に配置する場合と比べて動線が固定化するのを防げる点が大きなメリットです。島内でのコミュニケーションを重視しつつ、他チームとの交流も図りたい場合にはクロス型レイアウトを取り入れてみてはいかがでしょうか。
4. ブーメラン型

V字型のデスクを亀甲状に組み合わせて配置するスタイルです。長方形のデスクと比べて広い作業スペースを確保できるため、PCディスプレイを複数設置したいような場合も対応しやすいという特徴があります。また、適度な距離感を保てるため、集中するシーンとコミュニケーションを図りたいシーンを使い分けられる点も大きなメリットです。一方で、1つの島に3名ずつ座ることになるため、従業員数が多い職場では相応のオフィス面積が必要になります。
5. グリッド型

オフィスを格子状の「グリッド(区画)」で区切ります。個人の執務スペース、チームのミーティングスペースなどの機能的要素を「モジュール」として設計、配置します。グリッドに沿って什器が配置されるため、全体に統一感が生まれ、整理されたすっきりとした印象になります。
注意点として、グリッドごとにレイアウトが異なるため、オフィス全体で見ると動線の設計が難しくなりがちです。従業員がグリッド間を移動することも想定して、ゾーニングを慎重に検討する必要があるでしょう。
6. 自由型
ここまでに挙げたような、特定の型にこだわらないスタイルです。フリーアドレスなど自由度の高い働き方とも相性がよく、カフェ風の席やソファ席といった多彩な空間を設けられます。また、オフィスのコンセプトを存分に打ち出せることも大きなメリットです。近年はオフィスデザインをブランディングの一環と捉える企業も増えています。リラックスして働ける雰囲気のオフィスにすることで、人材採用にもよい影響をもたらすでしょう。
オフィスレイアウトを検討する際のポイント
オフィスレイアウトを検討する際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。レイアウトの失敗を防ぐためにも、次の4点を着実に実践しましょう。
ポイント1:オフィスの基本コンセプトを明確にする
はじめに、どのようなオフィスにしたいのか基本となるコンセプトを決めておくことが大切です。自社が目指す働き方や業務上求められている機能、解決したい課題などを踏まえてコンセプトを策定しましょう。
コンセプトが曖昧なままオフィスレイアウトに着手すると、統一感に欠けるレイアウトになりがちです。その結果、機能性を度外視して見栄えをよくすることに偏るなど、かえって使いにくいオフィスになるおそれがあります。基本コンセプトを固めた上で、具体的なレイアウトの検討に移るのがポイントです。
ポイント2:面積の配分を決定する
オフィスには執務スペースの他にも、共用スペースや通路、収納スペースなどを設ける必要があります。一般的な目安として、オフィス全体を100%とした場合、執務スペースが占める割合は50〜60%程度です。残りの空間は、各スペースに振り分けて配分することになります。この配分を誤ると、「収納スペースが足りない」「通路が狭く通行しにくい」といった事態を招きかねません。執務スペース以外の面積もあらかじめ織り込んで配分を考えることが大切です。
ポイント3:ゾーニングと動線を決めておく
ゾーニングと動線の設計は、使いやすいオフィスづくりに欠かせないポイントの1つです。各ゾーンの用途や求められる機能を考慮して決定する必要があります。適切な動線を実現する上で、目安となる通路幅とデスク間の距離、壁との距離は下図のとおりです。

また、ゾーニングを検討する際にはセキュリティ面も考慮しておく必要があります。重要な書類を保管するための収納はできるだけ部屋の奥に設置し、従業員が頻繁に行き来する場所を避けるのが無難です。
ポイント4:関連する法令を遵守する
オフィスレイアウトには建築基準法や消防法、労働安全衛生法など関連する法令が複数あります。各法令で遵守すべき主なポイントは下記のとおりです。
建築基準法
廊下の通路幅は、両側に部屋がある場合は1600mm以上、片側に部屋がある場合は1200mm以上確保する必要があります。
消防法
天井まで届く高さのパーティションを設置する際には、区切られた空間がそれぞれ一室と見なされます。煙感知器や熱感知器、スプリンクラー、非常灯といった消防法で設置が義務づけられている設備を取り付けた上で、管轄の消防署に届出をしましょう。
労働安全衛生法
従業員一人あたりのスペースを10平方メートル以上確保する必要がある他、室内の照度にも基準が設けられています。具体的には、「一般的な事務作業」については 300 ルクス以上、「付随的な事務作業」については 150ルクス以上の照度の確保が必要です。
おしゃれなオフィスデザインのヒント
オフィスレイアウトを検討するにあたって、こだわりたいポイントの1つが「デザイン」です。おしゃれなオフィスデザインを実現するためのヒントを紹介します。
デザインに一貫性をもたせる
オフィスのデザインに一貫性をもたせることは、おしゃれなオフィスづくりの重要なポイントです。まずはオフィスデザインのテーマを決め、その上でデザインの方向性を定めていきましょう。
統一感のあるデザインにするコツとして、内装を同系色でまとめることや、什器のテイストをそろえることなどが挙げられます。すっきりと統一された配色・テイストでそろえることは、オフィス全体を洗練されたイメージづくりにも効果的です。
機能性とデザイン性の両立を目指す
オフィスはあくまでも業務遂行のための空間です。外観だけでなく、従業員にとって使いやすいオフィスとなるよう機能性も重視することが求められます。
たとえば、一見すると整然としたデザインに仕上がっていても、実際に従業員が使ってみると「収納に必要な引き出しがない」「通路が狭い」といった点にストレスを感じる可能性があります。デザイン性のみを追求するのは避け、機能性との両立を目指すことが非常に重要です。
木のぬくもりを活かしたオフィスデザインの事例
オフィスデザインのテーマとして、木質化と緑化がおすすめです。木製品の手ざわりや香り、植栽には人工物にはないぬくもりが五感を豊かにし、癒しをもたらしてくれます。
木のぬくもりが感じられるオフィスデザインにすることは、従来のオフィスのイメージを大きく変え、自然と人が集い、会話が生まれ、リラックスして働ける共創空間を構築できるでしょう。
以下に木のぬくもりを活かしたオフィスデザインの事例を紹介します。デザインがもたらす効果やリニューアル後の改善効果にもふれています。オフィスデザインを検討する際に役立ててください。
事例1:自然と会話があふれる空間づくり(富士電機株式会社)
同社では従来、未使用の会議室に長机とパイプ椅子を設置して研修受講者の昼食や休憩の場として利用していました。この部屋を、研修受講者向けのリフレッシュエリアにリニューアルを行いました。天然木を活かしたぬくもりの感じられるデザインで統一することにより、一人でも複数人でも快適に過ごせる空間を提供しています。現在ではリニューアル時に想定していた用途を超えて、打ち合わせや講習会、懇親会といった用途にも活用されており、会社のイメージアップや社内の活性化につながっています。
事例2:おもてなしの場を兼ねたオフィスへ(有限会社新興建築サービス)
同社では、本社オフィスの全面リノベーションを実施。1階は執務室専用エリアとし、個人用デスクを配置しました。デスクの間に設置した木製のパーティションによりコミュニケーションを妨げない適度な目隠し効果で個人作業もはかどります。 2階にはCADスクールを新規開設、空間をCADスクール兼打ち合わせスペースへとリニューアルしました。木製の什器とリラックス効果のある植物を配置したことで、受講者・従業員の双方にとって心地よい空間づくりを実現できました。
事例3:遊休スペースの有効活用(株式会社アンペール)
従来は未使用の什器置き場となっていたスペースを、共有スペースにリニューアルしました。自然素材のパーティションとテーブルを配置することにより、有効活用されるスペースへと生まれ変わりました。現在は主に社内会議の他、オンライン会議やウェビナー受講等に活用されています。テーブル・椅子とパーティションを設置する簡易的なリニューアルによって、スペースの有効活用と従業員が気軽に会話し合える場づくりを同時に実現した事例です。
次の記事では、面積が限られているオフィスのレイアウトアイデアを紹介しています。こちらもあわせてご参照ください。
おしゃれで使い勝手のよいオフィスレイアウトを目指そう
オフィスレイアウトは、従業員が快適に働くための空間づくりに大きく関わる重要な要素です。デザインと機能性の両立を意識することで、使いやすくおしゃれなオフィスへと生まれ変わるでしょう。今回紹介したポイントやヒントを参考に、おしゃれで使い勝手のよいオフィスレイアウトを目指してみてはいかがでしょうか。
キイノクスは、オフィス環境の木質化リノベーションをご支援します。リノベーションによって、オフィスの新築や移転と比べてコストを抑えつつ、オフィスの雰囲気を大きく変えることも可能です。また、木のぬくもりを活かしたデザインは従業員にとって過ごしやすい環境づくりにつながる他、企業のイメージアップにも寄与するでしょう。オフィスレイアウト変更やオフィスの木質化にご興味のある事業者様は、ぜひお問い合わせください。