コラム
キイノクスの取組に関するコラムを配信しております。

2024.09.12【オカムラ×キイノクス】木の温もりを感じるオフィスチェア「soegi」の開発秘話

肘置きに国産木材を使用した高機能オフィスチェア「soegi」は、オフィス環境事業も手掛ける株式会社オカムラと3年の月日をかけて共同開発しました。日本のみならず海外にも製品を出荷しているオカムラは、世界各国の規格に対応できるよう独自規格を設定しており、その厳しい基準を満たしたものだけを販売しています。もちろんsoegiもその基準を満たした自慢の逸品です。では、オカムラの家具づくりのこだわりは、soegiにどう活かされたのでしょうか? オフィスチェアの製品開発やマーケティング、プロモーションなどを行うアドバンスドシーティングデザインセンター部長の五十嵐僚さんに伺います。

株式会社オカムラ
オフィス環境事業本部
マーケティング本部
アドバンスドシーティングデザインセンター 部長
五十嵐 僚さん

オカムラのオフィスチェアづくりのこだわり

――オフィスチェアづくりで大切にしていることや、こだわりをお聞かせください。

弊社にはさまざまな事業部門がありますが、オフィス環境事業では創造性の高い“働く環境”をご提案しています。なかでもシーティング(オフィスチェア)開発の歴史は長く、1960年代から人間工学の考え方も取り入れて研究開発を行ってきました。

弊社のオフィスチェアづくりは、快適な座り心地を基本に、製品の美しさや機能性も追求しています。オフィス向けの製品に限らず、家具というのは“人に近いところにあるもの”であると常々思っていて、とくに椅子は、“人の体に一番近い家具”と考えています。仕事を通じて弊社の椅子を愛用している方から話を聞く機会もあって、「椅子が変わるだけで肩こりや腰の痛みが軽減された」といった感想をいただくことも多く、やはりデスクワークをする方にとって、椅子は非常に重要な要素であると再認識しました。

また、弊社は1997年から環境への配慮にも注力しており、環境配慮(GREEN)の波(WAVE)を自ら起こし、その波に乗るという「GREEN WAVE」の考えのもと、環境に対する取り組みを行ってきました。現在は限りある資源をより長く有効に活用し、廃棄物の発生を最小化するものづくりを目指す「サーキュラーデザイン思考」で製品をつくり、持続可能な社会の実現をめざしています。

木製肘置きを搭載したオフィスチェア「soegi」が誕生した経緯

――「soegi」が完成するまでの経緯をお聞かせください。

国産木材を活用したオフィスチェアの共同開発の話が持ち上がった際、一から新しい椅子を創るのではなく、オカムラの既存製品に木を組み入れることが決まりました。ですが、椅子の場合だと木材を使用できる部位が限られていたため、肘置きかチェアハンガーのどちらかに木を採用するという話になりました。ふたつのパターンを検討した結果、座っている際に手で触れられる部位の方が“木の質感”を直接感じられるということで、肘置きを木質化することになりました。

続いて、弊社のショールームで木の肘置きを装着可能な椅子を選定することとなり、「CG-Mチェア」がベースに選ばれました。「CG-Mチェア」の主な特徴は、腰をしっかりサポートする「くの字背フレーム」、快適な座り心地を実現する「異硬度モールドウレタン」、オフィス空間を明るく彩る「柔らかな背メッシュ素材」の3点で、リーズナブルでコストパフォーマンスの高い椅子という定評をいただいています。

木の質感を取り入れることで“なごみ”をもたらすオフィスチェア

――「soegi」の感想をお聞かせください。

座り心地の良い椅子に木の質感を取り入れることで、働く環境に“なごみ”をもたらし、心地良い雰囲気づくりにつながると考えています。ベースとなったCG-Mチェアの肘置きは、全体のバランスを考慮してコンパクトに設計しているのですが、soegiの木製肘置きはすごくボリューム感があって、存在感を主張する大きさにデザインしています。

肘置きを手で掴んだ際、手のひらでもしっかりと木の質感を感じられると言いますか、木をグッと掴める心地良さがあると言いますか……肘置きという一番体に触れる部分を木質化するにあたって、木の良さや温かみを最大限感じられるような工夫をしています。試行錯誤の過程で肘置きだけでも多くのデザイン案が制作され、最終的に現在の形になりました。実際にsoegiに座っていただくと、木の質感を存分にご体感いただけて、木が持つなごみの雰囲気も感じられるのではないでしょうか。

また、キイノクスの担当者様に、オフィス関係の方だけでなく、個人の方からも反響があったと聞いて、すごく驚きました。テレワークや在宅ワークが普及して、自分用にオフィスチェアを買い替えたいという方は多いのだと実感しました。

バイオフィリックデザイン×木質化のメリット

――オフィスの木質化・緑化や木製家具の導入には、どのようなメリットがあるとお考えですか?

弊社はオフィス家具の販売にとどまらず、働く空間づくりのご提案もしているのですが、最近のトレンドとして「バイオフィリックデザイン」というキーワードがよく挙がります。バイオフィリックデザインとは、“自然とつながりたい”という人間の本能的な欲求をもとに、植物や自然光などを働く環境に取り入れる考え方です。オフィスに自然の要素を取り入れることで、リラックスしながら生産性を上げる効果があると言われています。観葉植物などと併せて木製家具をオフィスに取り入れることは、バイオフィリックデザインの一環でもありますし、視覚や触覚などの五感を通じて自然を感じられることは、創造性が刺激されて良いアイデアが生まれるきっかけとなりそうです。

また、“愛着”を持ちやすいという意味でも木質化は効果を発揮すると言えるでしょう。個人宅の家具の場合、長期にわたって使い続けるため、愛着が湧きやすいのですが、オフィス家具だとなかなか愛着を持っていただけない傾向にあります。業務内容に合わせて好きな場所で働ける「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」が働き方のトレンドになっている今、オフィス内に自席がないというケースも増えていて、より愛着が持ちにくくなっているのかもしれません。

一方soegiの木製肘置きから感じる木の温もりや手触りは、愛着を湧かせるのに一役買っていて、ふとした拍子に木の肘置きを撫でたいと思うのは、一般的なオフィスチェアでは起こらない現象だと思います。体に一番触れる部分を木質化した効果の一つと言えます。木のぬくもりを感じさせるデザインというのは、オフィス家具に愛着を湧かせるためのアプローチになり得るのではないでしょうか。

差ではなく、“違い”をつくる。オカムラのものづくりに込められた想い

――オフィス向け家具づくりに対する想いをお聞かせください。

働き方改革やコロナ禍を経て、ハイブリッドワークやオフィスの在り方の見直しなど、ここ数年で働く環境が劇的に変化しています。弊社はそのような変化が起こる度、より最適な環境づくりを目指し、研究開発を積み重ね、心地良い環境をご提供できるように努力してきました。これからも家具によって、従来の働き方をドラマチックに変化させる提案など、業界をリードする役割を担いたいと考えています。

差ではなく、“違い”をつくる。弊社の社長がよく口にする言葉ですが、ものづくりを通して新しい働き方をつくっていくうえで、大切な考え方だと思います。先ほどの愛着というキーワードもそうですが、心地良いや美しいなど、そういった“良い言葉”で表現できるようなものづくりをこれからも目指すことを心がけています。

高機能オフィスチェア「soegi」の商品ページはこちら

 

内装木質化の魅力を五感で体験 「キイノクス ショールーム」の詳細はこちら

Contactお問い合わせ

キイノクスへご興味をもっていただきありがとうございます。
ぜひお気軽にご相談ください。