コラム
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2024.04.30【板蔵ファクトリー】一枚板を強みに木材を加工販売する銘木ファクトリー

板蔵ファクトリーは2018年に家具製造会社として設立されました。設立から6年、板蔵ファクトリーは、銘木を扱う木工所 として日本一を目指し歩まれています。

板蔵ファクトリーについて、代表取締役の吉田香央里さんにお話しいただきました。

 

吉田香央里 プロフィール
板蔵ファクトリー株式会社 代表取締役、ヤマガタヤ産業株式会社 取締役、ジブンハウスマテリアル株式会社 代表
1984年岐阜県出身、京都大学経済学部卒業。大手建材メーカー勤務後、全国銘木連合会会長を務める父の材木屋に就職し、子会社として建築資材卸売会社と造作家具製造の木工工場を起業。日本の文化である銘木や木の美しさを伝えるために活動中。また木の国岐阜の木材資源と人財が全国に通用すると実感し、岐阜県産材の産学官連携サプライチェーン「ぎふの木ネット協議会」をスタートし、事務局を務める。

 

板蔵ファクトリーの成り立ち

――会社設立の経緯を教えてください。

もともと板蔵ファクトリーは、人から引き継いだ会社です。元は高級婚礼家具を製造・販売する会社でした。先代社長が一代で築かれた50年以上続く会社でしたが、時代の変化とともに婚礼家具の需要も減りました。後継者がいらっしゃらなかったこともあり、木を知っている人に継いで欲しいということで、私たち(ヤマガタヤ産業株式会社)に話がきました。材木屋として当時一枚板に力を入れ始めていたこともあり、社長の想いを引き継いで、従業員さん 、職人さんなど自社スタッフさんを含めて会社を引き継ぐことになりました。

板蔵ファクトリーの事業戦略

――家具事業を引継がれた後、どのような会社を目指されましたか。

家具作りができる職人さんに残っていただいたので、手仕事を残したいという思いがありましたが、時代も変化しており新たなスタートを切る必要がありました。まず、会社の方向性をBtoCからBtoBに切り替え、置き家具というより空間への作り付け家具への提案に方向転換しました。高級物件からファミリーレストランの造作家具など幅広く対応しました。

いろいろな経験を経て家具業界の事がわかってきてからは、私たちの強みが素材の力であることを確信しました。(元々材木屋として)丸太を世界中から買っており、丸太から家具の形にするところまで一貫してできることが強みだと気付いたんです。

今目指していることは、銘木の一枚板を扱う日本一の工場です。樹種、サイズ、ストックにおいて、それなりのラインアップを揃えることです。また、業界をリードするために業界の既製品にはない銘木の新しい加工技術や、新しい商品展開を毎年発表しています。

――板蔵ファクトリーの強みを教えてください。

世界中の銘木を扱っている事です。原木の在庫、一枚板の在庫を多く持ってやっている企業は多くないと思っています。それだけではなく、加工設備も技術においても銘木を扱う日本一の企業を目指しています。

銘木は日本の文化なんですよね。お城や大名屋敷などを作る際には必ず使われていて、それを専門に扱う職種もあります。

岐阜には日本一の銘木市場があり、日本各地の御神木など、銘木の中でも良いものが岐阜に集まってきます。また、大きな銘木の加工は一社ではとても扱えないのですが、日本一大きい製材所も近くにあって、銘木を扱うにはとても良い場所でもあります。

銘木の用途はテーブルの天板が一番多いですが、最近は壁などの造作に使う事もあります。高級なお店向けが多いですが、カジュアルなお店でも使えるよう敷居の高くない一枚板も提供していきたいと思っています。

板蔵ファクトリーが大切にしている試み

――様々コラボレーションをされていますが事例を教えてください。

毎年新しいコラボレーションにトライしてみたいと思っています。例えば、一枚板を藍染してテーブルにしました。デニムブランドのディーゼルさんの店舗でも使われています。

また、石と木のコラボレーションも様々しています。切り出したままの石は木材と近く、面白い一点物だとか大理石とか御影石もあり、それらと木と組み合わせた製品を作っています。それから、今年は伝統工芸の寄木細工と家具を作り東京の展示会に発表しました。

共通することは、異素材とのコラボレーションにより文化を伝えていきたいということですね。プロフェッショナルな仕事の仕方で繋がりを持って、外部のデザイナーやパートナーとお仕事することで、この業界全体の仕事が増える流れにもなればと活動しています。

 

――ホテルとのコラボレーションについてお聞かせください。

最近は、ホテルとの取り組みが多いです。コロナ禍を経て、自然に対する考え方みたいなものが世界的にも変わってきたと思うんですけれど、物作りに自国の物を使うことへの関心が増え、自然の中にいるような心地良さを感じる空間、触れ方や取り入れ方の変化をとても感じるんです。ホテルにおいても、日本に建設されるのが外資であっても日本に関係する物を扱うといった流れを感じます。

ホテルは体験価値を与えてくれます。銘木や木材はストーリーを訴えやすい素材ですので、その空間で何かメッセージを表現するのにはぴったりかなと思っています。

 

――キイノクス プロジェクトへの参加について教えてください。

キイノクス向けにも国産木材を活用したオフィス向け内装や家具製品をたくさん提供しており、リラックスした心地良い空間づくりに協力できたらと思っています。森林環境保全や持続可能な企業成長へ貢献する動きも広がって行けば嬉しいです。

 

――国産木材を使う意味について教えてください。

日本は高低差の大きい島国で、気候も様々。世界の中でも樹種が多く、特徴的な木があることが日本特有です。また、日本には森林信仰があり、深い森がご神体として守られてきたこともあり、国土の森林率がとても高いのです。世界からは、森が守られ、保存されている国という印象をもたれていて、森林資源も十分あります。

業界は、“豊かな森を作るために、国産材を使いましょう”と発信しています。というのも、日本の森林は、伐採する量よりも生えてくる量が多く、管理しきれていない山が多くあります。山の倒壊や災害につながるため、適切な年月で木を伐採し循環させていくことが大切なんです。何百年かけて育った銘木も、余すところなく使い切ることで、サスティナブルにつながるのです。

さらに言うと、需要が生まれると、木材事業者、林業者へと繋がっていき、流通も増えます。その結果、森に還元するための収益も増え、森や林道の整備などもできるようになります。

 

――今後、国産木材の普及を高めるためにどんなことを考えられていますか。

国産木材の香りや、健康への効能を長く研究しています。ヒノキ、スギなど資源量の多い国産針葉樹には海外の木材にはない機能性の特徴があるのです。見た目の良さだけでなく、気持ちが安らぐことや心地良いこと、よく眠れることなど に役立てたいと思っています。ホテルやお店のインテリアの導入において、そうした体験価値を味わっていただけるようにしたいです。

国産木材の利活用の提案をすることで、素晴らしい日本の文化や育んできた素材の良さの発信になると思っているので、日本全国、世界に伝えていく活動を続けていきたいと考えています。こんなに美しいものが日本にはあるのだと知ってもらうきっかけになればと。

 

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