コラム
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2023.08.08【体験レポート】富士山麓ブナ林創造事業 植樹体験

こんにちは!もりのたけのこです。
今回は、静岡県富士市「富士山麓ブナ林創造事業」の植樹体験について、参加したキイノクスチームの石川玄哉さん、丸山絢郁さん、吉村直樹さんにお話をお聞きしました。富士山麓ブナ林創造事業の植樹体験会は、今回で30回目とのこと。富士市の市民のみなさんのほか、一般企業や寄付団体、富士市議会議員の方など、総勢400名で2,000本を植栽するという大規模なもの。今回の植樹体験を通じて、どんな発見や気づきに出会えたのか、さっそく聞いてみたいと思います。

 

植える樹種はひとつじゃない。人工林から自然林へ。

丸山>私は今回が初めての植樹体験でした。「ブナ林創造事業」と聞いていたので、当然、ブナを植えるものだとばかり思っていたのですが、現場に着いてみると、実際にはブナのほか、ケヤキやヒメシャラ、イロハモミジ、コナラ、ヤマボウシ、フジザクラといったたくさんの種類の苗木が準備されていました。よく見てみると、それぞれの苗木には違いがあるのもわかりました。

 

 

石川>いろいろな種類の木を植林するのは、“多様性のある森づくり”のためです。戦後植林されたスギやヒノキは、今、伐採の時期を迎えていますが、これらがいわゆる人工林です。今回植樹体験をしに行った静岡県富士市も、富士山麓で育ち、伐採時期を迎えたヒノキブランド「FUJI HINOKI MADE」を展開し、利活用を推進しています。

キイノクスでは、この「FUJI HINOKI MADE」を使ってひとり用木製ワークブース“WOOBO”を作成し、静岡県富士市のテレワーク実践会議室でご使用いただいています。

たくさんの木が育ち、一見、豊かそうに見える人工林ですが、木が過密状態で大きく根が張れないため、土砂崩れなどの災害リスクが高まっていたり、植物も生物も多様性に欠けていて、人工林の機能は、山や森が本来果たす機能に比べて低いという現状があります。これらの人工林を自然林に戻そうという動きが各地で進められています。いろいろな種類の木が、伸び伸びと育っていて、様々な動植物が生きている自然林、いわゆる雑木林の状態に戻すという意図があって、幅広い樹種を植栽していこうということです。

キイノクスは、岐阜の杉の木を使って製品を作ったら、杉の木を岐阜に植えよう、と考えていいました。でも、各地の行政の方々や森林に関わるお仕事をされている方々にお話をお聞きする中で、そうではないのでは?という疑問が出てきて、今は、自然林に戻すという活動を支援させていただいています。

 

植樹体験が、未来でも山を身近に感じさせる

丸山>今回の植樹体験には、「毎年来ています!」という方や、お子さんとご一緒に参加されている方、企業でお仕事の方など、いろいろな参加者がいました。小さな子どもさんにとって、今回の植樹体験は、ほんの一瞬の出来事で、日常に戻って暮らしていく中で、そのうち忘れちゃうと思うんですけど、無意識だけど、その子の中に森林への興味が残っていて、大人になった時に、ふとしたきっかけで、「そういえば、植樹したよなぁ」って、記憶として呼び起されるんじゃないかなって思いました。30年経ったら、あの子たちはまだ30~40代で、「そういえば小さい頃、植えたなぁ」とか、思い起こされる時が来るのかも。

 

石川>30年たってもその木はまだそこにあり続けていて、まだ伐採するまでに育っていなくて、その人に孫ができるくらいに、ようやくその木を切って何かを作るっていう時がやってくる。木が育つのって、そのくらい時間がかかります。植樹した木が育つのを見ながら、伴走していくような感じですね。

 

吉村>今回の植樹体験では、1年前に植えたものが隣にあったんですけど、今回植えたのとあんまり変わりないくらいに見えました。そのくらい、木が成長するには時間がかかるんですよね。自分が植えたものの成長を見るにはすごく時間を要するから、植栽してから5年後のもの、10年後のものを見ることができたら、自分が植えたものがこんな風になるんだ、っていう取り組んでいることの意味や意義のイメージが湧きやすいかもしれないですね。

 

石川>今回の植樹体験を通じて、植樹は一瞬の出来事なんですけど、木は育つのに時間がかかるという実感も含めて、山や森、自然の豊かさや尊さといったものへの“気づき”そのものになっているのではと思いました。植樹された木や参加者の数、面積といった、数字だけじゃない、参加したからからこそ感じられる気づきがあるのだと思います。植樹に参加すると、山に対して参画意識を育てていけるように思います。山は日常から遠くにあるものだったけど、こういった植樹活動に参加すると、大人も子どもも、山が近づいてくるような感覚になるんじゃないかな。山や森への気づきが生まれて、山が身近になり、自分事になって、自分が植樹に参加した山に何年か後に訪れてその成長を見たり、山が近くにあり続けるというふうに変わっていくように思います。

 

山が枯れると海も枯れる

吉村>今回の植樹体験の冒頭の小長井 義正(こながい よしまさ)市長のお話にもありましたが、富士の裾野には森があって、そこから水が供給されているという自然の恵みを市民は享受しています。これは、富士市に限ったことではありません。日本では全国どこでも、蛇口をひねれば、当たり前のように水が出てきます。でもその水の元をたどっていくと、山なんですよね。豊かな山があるからこそ、水が私たちの暮らしまで届いてくる、ということを忘れがちです。だから、山を守ることは、私たちの水を守ることにも繋がっているんです。

 

石川>山に雨が降って、その雨が土に溜まって、蓄積された雨水が少しずつ出てきて、川になり、海に流れていく。その途中で、私たちはその水をいただいているんです。木々が根を張り、土を捉え、水を溜めます。木から落ちた葉は小さな生き物や微生物のふかふかのベッドになって、栄養豊かな土壌がつくられます。栄養豊かな土壌を通る水には、その栄養が溶け込み、川や海へと運ばれます。一見、遠いと思いがちな山と海は、実はある意味とても近い関係なのです。川から流れ込む水の豊かさが、海の豊かさに繋がります。痩せた土壌を通る水は、当然栄養素が少なく、海への栄養の供給も減り、海洋生物が育たない、といったことに繋がってしまいます。森には、貯水機能としての役割のほかに、陸にも海にも栄養を届けるという大きな役割があるんです。だから、森が枯れてしまうと、海も枯れてしまうのです。

 

キイノクスの森への夢

石川>今回の植樹体験を通じて、あらためて、この体験をいろいろな方々にシェアできたらいいなと思いました。キイノクスチームの仲間や、メンバー企業のみなさん、WOOBOをはじめキイノクス製品を導入いただいている企業のみなさん、そういった方々に、植樹体験を届けたいと思います。実際にご自身の手で植える、その場所の空気や、景色、その中で手にする気づき、そういったものが、きっと、それぞれの方の心の中に、何かを思い抱かせ、その方の選択やアクションが変わっていく。そんな変化の一助をキイノクスが担えたら素敵だなぁと思いました。

いつの日か、「キイノクスの森」みたいなものが作れたらいいな。植樹ツアーをキイノクス独自で企画をしてやってみたいです。ここが森になるんだなーと思いながら訪れるのも楽しいでしょうし、参加した企業の方が何年か後に訪れて、「ぼくらが植えた木だ!」っていう姿が見れたら嬉しいですね。

 

丸山>今回植樹したのは枝のような小さな苗木だったので、台風とかが来たら倒れちゃうんじゃないかと、ちょっと心配な気持になって、頑張って大きく育つんだぞ!と心の中で声をかけて、山を下りました。自然を感じて、森や水のことを学んで、また訪れたいって思う、こんな体験をキイノクスの森で出来たらステキだなぁと思いました。

 

<富士山麓ブナ林創造事業 植樹体験概要>
平成6年に開始された取り組みで今回で30回目
実施日:2023年4月29日(土・昭和の日)10:00-11:00
参加者:約400名
植栽樹種:ブナ、ケヤキ、コナラ、ヒメシャラ、イロハモミジ、ヤマボウシ、フジザクラ等 約2000本
植栽面積:1ha
実施場所:静岡県富士市大渕(市有林)
参加者:みどりいっぱい富士市民の会、民間事業所、寄附団体、富士市議会議員等
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